国境なき事務員 (国境なき医師団の事務員の現場レポート)

2018年、汐留の広告代理店から国際医療NPO「国境なき医師団」へ転職。現在、アドミニストレーター(事務員)としてケニアでのHIV対策プロジェクトで働いてます。尚、このブログはあくまで高多直晴の個人的な経験や考えを掲載しています。国境なき医師団の公式見解とは異なる場合もありますのでご了解ください。

問題:医者がストライキをするとどうなるでしょう?

ボクらが活動支援している公立ホーマベイ病院の職員がストライキに突入してから今日で10日目。しかも今年にはいってからこれが2回目。原因は給料の遅配です。ここ2ヵ月の間、公立病院の職員(つまり公務員)は給料をもらっていないんですよね。ケニアに限ら…

ラピュタに学ぶ「インド洋で素人が漁をしてはいけない理由」事務員の休暇

ごめんなさい、インド洋なめてました。 アフリカの漁師さんの仕事もなめてました。 「地元の漁師と一緒にマグロ漁に出たいんよね」とか言わなきゃよかった。 後悔、先に立たずとはまさにこういう事だったのね。 「この苦しみ(船酔い)から逃れられるなら土…

すこしマジメな仕事の話 ー「サワコの朝」のゲスト・大江千里がエラく格好良かった

今回は「そこそこいろんな人に迷惑かけて。それでも好きで転職したんだから、そして今、憧れの職場にいるんだから、もっと一生懸命、働かなきゃいかんな。」という話なんですが。 遠隔地診療のハブ施設。スタッフの人数が多いときは屋外テントでランチ。雨が…

今さらL’Arcのhydeになりたくてドレッドにしてみたら、

この「L’Arcのhydeになりたくて」というタイトルだけで世間様から「オマエ、もう死んでいいよ。」という言葉が聞こえてきそうですが。まあその辺はテキトーに聞き流してですね。先週hyde風ドレッドしちゃいました。 アフリカの大地たたずむと何かと無謀な挑…

年間2000人のレイプ被害者の診察を行うSGBV診療科

休暇初日はナイロビに立ち寄った。 行先はナイロビの巨大スラム、マザレ地区で運営している国境なき医師団の診療所だ。新聞記事や内部資料などを通じて知識としてスラムの医療活動のことは知ってはいたけれど。機会があれば、自分の目と耳を通じて知っておき…

病院でHIVテストを受けてきたっス。

先週、運営している病院でHIVテストを受けてみたっス。実はこれが2回目。一回目は4月に受けてまして。なぜボクが4月にHIVテストを受けたかというと「もしかしたらワシ感染したかもしれん」という”心当たり”があったからなんです。 HIVは基本的に血液感染なの…

やがて狂って、昏睡し、そして死ぬ「アフリカ睡眠病」の話

突然ですがハエに襲われたことあります? 実は先日、車で移動中にハエの猛攻にあいまして。その時、車内に侵入してきた一匹にチクリと刺されてしまいまして。アフリカではハチじゃなくてハエも人を刺すんですねえ。そして問題はそのハエの名前がツェツェバエ…

「昨日、ボクの父ちゃん結核で死んじゃったんだ」話をする詐欺少年クンたちの話。

今日、仕事場から歩いて帰っていると12才くいらいの少年Aと8歳くらいの少年Bの2人が近寄ってきた。2人ともボロボロのTシャツにボロボロのゴムぞうり。この辺りの典型的な貧乏少年のスタイルだ。 この子たちは本文とは全く関係ない、近所のとっても良い子…

医療チームの撤退はイコール”患者の死”だったりする訳で。

ここに一台のプロジェクターがある。エイズ・HIVプロジェクトの予算会議で使うために倉庫から取り出してきたヤツだ。ちなみにボクは事務のおじさんなのでプロジェクトの予算管理は大事な仕事のひとつ。 ちなみに写真のお部屋がわが職場、通称、ADMIN ROOM(≒…

人鶏補完計画-ついにヒヨコと母鶏をゲットーその2

天才的な設計図を作成したあとは街の材木屋に角材、金網、トタン屋根などなどを発注。「これで週末にトンカチ片手に組み立てできるのう。」と夢を膨らませた。せっかく自分で設計した「鶏小屋」なのだから、自分でトンカチしながら作るのが醍醐味ってヤツだ…

人鶏補完計画-ケニアでニワトリを飼ってみようと思うーその1

いきなりだけどケニアでニワトリを飼うおうと思う。 あ、彼はニワトリじゃなくてペンペンでしたね、、、汗 前回、このブログでも書いたとおり人類は増えすぎている(らしい)。人口が増えると何が問題かというとまずは食糧不足だろう。そこで先見の明がある…

「私たちは(マジで)繁殖している」実は衝撃的な【人口増加率2.7%】の意味

週末、宿舎の本棚に古いペーパーバックがあったのでペラペラとめくってみた。開いていたのは2006年版のロンリープラネット「東アフリカ」(「地球の歩き方」のワールド版みたいな本)そこにこんな一文が載っていた。「ケニアの人口3150万人」おやおかしいな…

おシャレでちょっと意識も高め。あの講談社「クーリエ・ジャポン」で掲載開始っス!

courrier.jp 今月からクーリエ・ジャポンというオンライン雑誌でボクのアフリカ・ケニア生活の記事を掲載してもらえるようになりました。クーリエ・ジャポンは講談社さんのお洒落で知的なクオリティーペーパーということでココの個人BLOGと違って、エロ色と…

まちの「棺桶屋」でオーダーメイド家具を注文してみた

現地で入居した借り上げ社宅(シェアハウス)の部屋にはタンスがなかった。洗濯したあとの服を雑然と積んでおくのもなんとなく忍びなく。それに数は少ないけれど日本から持ってきた本も整理しておきたい。ということで部屋に本と服がおける棚を置くことにし…

カネと魚と男と女 ケニアのラブホ事情

Are you work for FISH BUSINESS? 港の近くで漁をする小型ボート。ちなみにエンジンはついていない。 ケニアではHIV検査の際、被験者の生活様式を把握するためにアンケート用紙が配布される。その中に気になる質問項目がった。それが冒頭に書いた「あなたは…

「売って無ければ作ってみよう!どうせなら獲ってみよう!」アクアパッツア編

ここケニア・ホーマベイにはレストランがない、、、ことはないが、あるのは基本ケニア風ケニア料理かケニア風インド料理しかない。せっかく新鮮な魚と野菜があるのだからたまにはパスタ以外の「イタリアン」とか食べたくなるっていうのが人情?というもの。…

頑張れ、ケニアの出木杉くん!!

今回もHIVキャリアの若者とちびっ子を対象にしたイベント"Young Adolescents Champion"で出会った若者の話。閉会式の一番最後のスピーチで、メルケデス(仮)は自分の生きてきたこれまでの半生を語ってくれた。 メルケデスはオサムと同じ18才。イベントで…

ぜんぜん笑えない「いじわるばあさん」の話。

日曜日に立ち会ったHIVキャリアの若者とちびっ子を対象にしたイベント"Young Adolescents Champion"(前号参照)で二人の少年に出会った。名前はオサム(仮)とメルケデス(仮)。彼らは閉会式のスピーチでこれまで生きてきた18年間を静かに淡々と語って…

自分の病気が何なのかよくわかる十五の夜

今日は日曜日ということで朝から地元との少年少女を100人ほど集めたHIV啓蒙活動に立ち会った。このイベントはEGPAF(エリザベス グレーシャー小児エイズ基金)とホーマベイの厚生省との共同開催で場所は農村地帯にある遠隔地の診療所だった。そこの広場で運…

牛肉100g/37円、日清のインスタントラーメン30円、マンゴーなんと10円だぜ!

「今日のおかずは何にしようかしらん♪」 これは事務所の給食ランチ。本日のメニューは「ウガリと煮干しの和え物ビクトリア風、ケニアの旬菜をそえて」みたいな。 夕方5時過ぎて仕事終わりが近づくと晩メシのことが気になりはじめる。ストレス解消には美味い…

結婚9年目で19才で5人の子持ちですけど、、、何か?

その日のボクは4回のHIV検査に立ち会った。 案内役の同僚から「次の被験者の部屋にいってみる?」といわれ検査スペースの中に入った。目のまえの二人はとても仲良さげに手を握っているカップルが座っている。 名前はジョセフ(仮)とエリザベス(仮)。結婚…

国境なき医師団のお仕事 「HIV罹患率24%という事実」の現場

HIV罹患率24%という事実、これは実際に直面するとかなり重いです。 このホーマベイという地域は世界でも最も罹患率が高いエリアの一つ。 そしてHIV患者は基本的に長期入院はせずARV(抗レトロウイルス薬)を飲みながら 普通の生活をしている。ということ…

やーっとケニアのホーマベイに着任

4月6日金曜日、ケニア・ホマベイ(Homabay Kenya)の 展開しているHIVプロジェクトに着任した。 いやぁ、ここまで実に長かった。 乗り物にのってる時間だけでも26時間。やっぱり地球は広いのね。 今週一週間の道のりを書き残しておくと、、、 -4月2日 東京発…

「タカタくん、来週からケニアに行ってくれるかしらん。」

勤務地の「HomaBay」で画像検索するとリゾートチックな写真がちらほら。 とうとう「勤務先の内示・mission offer」メールが国境なき医師団の人事担当からやってきた。行先はケニア。内容はHIV対策プロジェクト、ボクの仕事は予算管理と人事業務全般で期間は9…

ちょっと、しょっぱいゴハンの話

(パリでは外食も楽しいけれど、たまにはこんな食材を使って自炊するのも楽しかったりする。) 「今日の晩メシどこに行く?」一日の研修が終わるとメンバーの一人がSNS"what's up"のグループでみんなに声掛けしてくる。さてさて楽しいゴハンの時間のはじまり…

標的はセーブ・ザ・チルドレン(アフガニスタンでのテロ襲撃事件)

1月24日、パリでの新人研修3日目。アフガニスタンからショッキングなニュースが飛び込んできた。「アフガニスタンにある海外援助団体のセーブ・ザ・チルドレンの事務所がIS(イスラム国)のロケット砲攻撃を受け、スタッフ3名(最終的には4名)の死亡が確…

パリの新人研修はじまる

国境なき医師団の海外派遣要員として採用されるとまずフランスの本部で行われる新人研修に参加しなければならない。 その後想定されるタフな派遣先(南スーダン、バングラデッシュ、パプアニューギニアなどなど)と比べると「国境なき医師団」らしからぬ?お…