国境なき事務員 (国境なき医師団の事務員の現場レポート)

2018年、汐留の広告代理店から国際医療NPO「国境なき医師団」へ転職。現在、アドミニストレーター(事務員)としてケニアでのHIV対策プロジェクトで働いてます。尚、このブログはあくまで高多直晴の個人的な経験や考えを掲載しています。国境なき医師団の公式見解とは異なる場合もありますのでご了解ください。

まちの「棺桶屋」でオーダーメイド家具を注文してみた

現地で入居した借り上げ社宅(シェアハウス)の部屋にはタンスがなかった。洗濯したあとの服を雑然と積んでおくのもなんとなく忍びなく。それに数は少ないけれど日本から持ってきた本も整理しておきたい。ということで部屋に本と服がおける棚を置くことにした。日本にいればアマゾンあたりでカラーボックスとかをポチッとすればいいのだけれど。ここケニアにはそんなものはない。街で売ってる既製品の家具はどれも新婚家具みたいな大き目のタンスとかが中心でしかも高い。さてどないしましょ。

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あらためて見ると我ながら衣類の量らホントに少ないぜ。ほぼ夏物だけでスーツも着ない生活だとコーディネートがめっちゃ楽っス。。

思案の末、近所の家具職人に部屋用の棚をオーダーすることにした。ただその前にまずは発注書(設計図)がいるなぁ。物差しとボールおペンを用意して事務所のコピー用紙に設計図を書き起こしてみた。新築でもないのにオーダー家具を発注するなんて、かなりウキウキだぜ。30数年前に中学の技術家庭科で習った工作図面の描き方がこんな所で役にたつとは。我ながら素晴らしい出来じゃないか?

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夏休みの工作みたいで、ウキウキ楽しい図面作りだった

そしてこちらが発注先の近所の家具屋さん、というよりか棺桶屋さん。お店の看板には「コーディンドー家具店・棺桶&よろず木工承ります」と書いてある。以前も書いたけれどボクの住んでるホーマベイには我が国境なき医師団も運営に関わってる、この辺りで一番大きな病院がある。つまりふつうの街に比べて棺桶の需要がとても多いのだ。なんとダウンタウンに行くと棺桶屋が軒を連ねる「棺桶通り」まであったりする。家具屋の多くが家具じゃなくて棺桶を作っているというのがなんともホーマベイらしい。そして腕もいらいらしい。

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これがダウンタウンにある「棺桶通り」人口2-3万の街なのにこの数はなんともなぁ。。

さていよいよ発注開始。店の職人さんと材質やら、色やら、値段やらを相談。結果、木

 目を活かした塗装なしの無垢材で仕上げてもらうことに。お値段は最初5000円っていわれたけど、交渉の結果4500円で成立。若干、高いかとおも思ったけれどケニアの人件費はそれほど安くないのでまあこんなもんかな。

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ボクの持ち込んだ精巧かつ大胆な設計図を見つめる棺桶職人の兄ちゃん。なぜか困り顔で「お客さん、こんな変な寸法でマジええのん?」と何度も聞かれた。

ちなみに棺桶の値段を聞いてみたら9000円からとのこと。あとは装飾次第で2万くらいまでだそうな。さてさて発注して4日後にできあがったのがこちら。素材は棺桶用と同じとのことで思いのほかしっかりした作りになった。表面もきっちりヤスリがけしてくれて、噂にたがわぬいい仕事だぜ。

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棚の上に飾ったのは不肖・宮島の「誰が為にワシは撮る」政治的なスタンスは若干異なるけれど、好きな写真家の一人だ。

ウチにかえってBOSEのスピーカー置いたみたら共鳴効果もばっちりで大満足の出来ばえでござった。家具をオーダーするなら棺桶屋にかぎるかも。 もしかしたら、その内ここで俺用の「桶」をオーダーなんてこともあったりして。曰く「人間至る処、棺桶あり」なんちって。