国境なき事務員 (国境なき医師団の事務員の現場レポート)

2018年、汐留の広告代理店から国際医療NPO「国境なき医師団」へ転職。現在、アドミニストレーター(事務員)としてケニアでのHIV対策プロジェクトで働いてます。尚、このブログはあくまで高多直晴の個人的な経験や考えを掲載しています。国境なき医師団の公式見解とは異なる場合もありますのでご了解ください。

「私たちは(マジで)繁殖している」実は衝撃的な【人口増加率2.7%】の意味

週末、宿舎の本棚に古いペーパーバックがあったのでペラペラとめくってみた。開いていたのは2006年版のロンリープラネット「東アフリカ」(「地球の歩き方」のワールド版みたいな本)そこにこんな一文が載っていた。「ケニアの人口3150万人」おやおかしいな?去年のケニアの人口は約4800万人のハズ。たった約12年で3000万強の人口が1600万(約50%)も増えるわけないじゃん?不審に思ったのでちょっとググっと調べてみた。するとかなり「不都合な真実」がオンパレードで行進していた。まあ人口学とかに詳しい人なら常識かもしんなけいど。ボクの場合、アフリカの人口とかって今までの人生で接点なかったからとっても衝撃的だった。

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昔、バックパッカーやってたころお世話になった世界の名著「Lonely Planet

f:id:st-maria1113:20180509025050p:plainこちらはタイトルをパクらさせて頂いたの内田春菊の名著


で、突然だけど、今、地球上に人類が何人くらい生きているか知ってます?

正解はざっと76億人。下記統計によると今年に入ってから約4か月間で人類は48,571,451人生まれて、20,120,821死んだので、結果28,456,320人増えたそうです。4ヵ月で2800万人増えたってことは、一年で約1億1200万増えるってこと。日本1個分の人類が今年増えることになるんですねぇ。

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出展はコチラ:【ワールドメーター】

http://www.worldometers.info/world-population/

リアルタイムで「人類の今」がわかる面白い統計が並んでます。

 特に人口がめっちゃ増えているのがここアフリカの東側で。この10年の人口増加率は年平均で約2.7%。もしかして「2.7%なんてたいしたコトあれへんやん。」と思ったりしませんでしたか。実はコレ、けっこうな数字なんですよ。例えばお金に換算してみるとですね。元金100万円の場合、年利2.7%で運用したら10年後には130万円になってます(詳しくは下の複利計算表をごらんください。)。10年でざっと30%も増えちゃうんですね。ちなみに26年約2倍。日本の人口に置き換えた場合、今年生まれた赤ちゃんが大人になるころには総人口が軽く2億越えです。少子化問題年金問題も一気に解消ですねぇ。

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上は利息2.7%で運用したときの複利計算表。

 そして現在、アフリカの人口は12億8000万人。これを年利2.7%で複利計算にあてはめると10年後には約3億8千万人増えて16億7千万人になってるってこと。

f:id:st-maria1113:20180507041729p:plainそして人口が増えるって人類にとって意外と深刻。毎年日本一個分の1.2億以上の人類が増えると、その分の食糧消費もエネルギー消費もゴミもCO2もみんな増えますわな。現代の人類は途上国でもめちゃめちゃスゲー勢いで消費活動を行っているので、かなり危機的な数字だと思うんです。実際に20年前は美しく澄んだ水を讃えていたここビクトリア湖も急激な人口増加に伴う容赦ない排水汚染によってアオコが大量発生しちゃって、いまはドブ緑色になっちゃたりしているのを見るとホンマにヤバいなあと。

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ボクの住んでるホーマベイの海岸もつい最近までは子供たちが泳ぎ回る美しい湖だったらしいけれど、、、。

出展はコチラ:

http://ndhiwamaarifacentre.blogspot.co.ke/2011/03/lake-victoria-chokes-under-water.html

 ということで人類が増えるっていうのは21世紀の我々にとってはあまり喜ばしいニュースではないのですが。なんでそんなことになっちゃったのか?その理由はとてもシンプルでほぼこの2個にしぼられます。

その1:人があんまり死ななくなったからから。

特に20世紀後半からの乳幼児死亡率の劇的な改善と近代医学の発展によって人類の平均余命がめっちゃ伸びたから。

その2:母ちゃんが子供を生む数が減らない。

これまでの人類が生きてきた数百万年の歴史では、赤ん坊ははいくら生んでもその分、バンバンが死んでいたのでそれほど人口が増えなかったけど。ここ50年間で子供の死亡率は劇的に低下していて。でも出生率は下がってないから、そりゃあ増えるわな人類。(日本や北欧の少子化と人口減少はほんとに例外中の例外)

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ゴム飛びであそぶ近所のガキんちょたち。こういう子供らをみると小難しい理屈抜きで「がんばれよー」って思う。

そしてボク(国境なき事務員)としてはちょっと考えてしまう訳です。国連をはじめいろんな団体が頑張って乳幼児死亡率を下げている。そのことが直接的に地球規模の人口増加につながっているわけで。もちろん「人の命を救う。特に子供の命を救う」というのは、かなり基本的な人類共通の価値観なのでそこは否定しがたいのだけれど。我々人類はもう少し、というかあとだいぶん出生率の抑制について頑張らないと、ほんとエライことになると思わずにわおられない、そんな夜でございます。

参考HP: 国連人口基金(UNFPA) | 国連広報センター

世界最大の人口対策機関であるハズの国連人口基金UNFPA)の年間予算(2012年)は9億6200万ドルだったらしい。たったの1000億円。ちなみに鳥取県の2018年度予算は約3400億円。日本一人口の少ない鳥取県の1/3の執行予算で人類の危機は救えるんかのう。しかもこのWEBサイト、あのオシャレで意識高いカンジの青山にある国連の最高研究機関、国連大学の公式HPにも関わらず2012年から予算データの更新してないし。ホンマに大丈夫か?

 

そんなヤバい人類の未来を描いた名作がコチラ。

www.youtube.com

「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が経っていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。」ファーストガンダムの冒頭より)