国境なき事務員 (国境なき医師団の事務員の現場レポート)

2018年、汐留の広告代理店から国際医療NPO「国境なき医師団」へ転職。現在、アドミニストレーター(事務員)としてケニアでのHIV対策プロジェクトで働いてます。尚、このブログはあくまで高多直晴の個人的な経験や考えを掲載しています。国境なき医師団の公式見解とは異なる場合もありますのでご了解ください。

標的はセーブ・ザ・チルドレン(アフガニスタンでのテロ襲撃事件)

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1月24日、パリでの新人研修3日目。アフガニスタンからショッキングなニュースが飛び込んできた。「アフガニスタンにある海外援助団体のセーブ・ザ・チルドレンの事務所がIS(イスラム国)のロケット砲攻撃を受け、スタッフ3名(最終的には4名)の死亡が確認された」というのだ。

www.bbc.com

研修メンバーの間に「明日は我が身か?」というシリアスな空気が流れた。

 つい1ケ月間前までのボクなら「またアフガンでいつものテロが起こったな」と聞き流していたかもしれない。しかし今は置かれている状況がちがう。我々、新人メンバー自身も今後アフガニスタンに赴任する可能性があるからだ。さらに今回の研修には元アフガニスタン空軍パイロットから国境なき医師団に転職してきた参加メンバーもいる。彼の名はナジーブといいボクと同じアドミニストレーターだった。首都のカブールには小学生になる可愛い娘さんがいって写真を見せてくれた気のいいヤツだ。そして何より国境なき医師団は2015年10月に同じアフガニスタンでアメリカ空軍の爆撃(米国政府は誤爆と説明)を受けている。その爆撃では患者とスタッフあわせて42人が殺害された。東京のオフィスビルで働いていた一か月前までは他人事だった遠い国のテロ事件が突然、自分事になっていた。アフガンからのニュースは過去に「職場の先輩と患者さんが殺害され」「研修仲間が家族と共に暮らす街でおこっている」そして「これから自分もそのターゲットになるかもしれない」リアルな出来事としてズシリと腹の底に響いた。

(尚、アフガニスタンの首都カブールではこのテロの後、立て続けにISとタリバンによるテロが激化し、一週間で100名以上が殺害された。)