すこしマジメな仕事の話 ー「サワコの朝」のゲスト・大江千里がエラく格好良かった
今回は「そこそこいろんな人に迷惑かけて。それでも好きで転職したんだから、そして今、憧れの職場にいるんだから、もっと一生懸命、働かなきゃいかんな。」という話なんですが。
遠隔地診療のハブ施設。スタッフの人数が多いときは屋外テントでランチ。雨が降るとちょっと文字通りドロドロなので整備したいけど、なかなかそこまで手とカネが回せない。
その前に話のまくらを少々。皆さんにはどうでもいい話ですけど、実はボク、阿川佐和子さんのファンなんです。NEWS23以来だから、かれこれ30年来。こっちに来てから仕事で気分が落ち込むことがあるとYouTubeで「サワコの朝」を見みてライフゲージを回復させてるんですが。今日はそんな落ち込んだ週末を過ごしていて。そして今回のゲストは大江千里。(今回といっても実際のOAは2017年1月)
さてこの大江千里氏、僕と10歳違いの1960年生まれ.元シンガーソングライターで今はNYでジャズピアニストやってます。サンドウイッチマンの伊達さんと同級生の田上君がカラオケでよく歌うのと。高校生の頃、夕方聞いていたNHKーFM(鳥取ローカル)のDJをやっていた可愛いアニメ声のオロロンさん(大江千里と同じ関学出身)が彼のことを好きでよく曲を流していたので、なんとなく馴染みがあり。
兎に角、今週はゲストが大江さんの放送回を見まして。最初は「阿川さんの前でカッコよくジャズピアノ弾いてるよ。しかも阿川さん、いつもよりちょっと楽しそうじゃん。ちきしょー羨ましいぜ、大江千里。」みたいに思ってたんですけど。彼のジャズピアニストへの転職のいきさつやら、NYでのジャズ(学校)生活の話が進むにつれ。あれ、大江さんって、もしかしてスゴイ人なの?という展開へ。
この歌を聞いた時「別れて初めて気がついた。」っていう歌詞がスゲー引っかかって。「別れてはじめて」ってことは、テメー一度、つきあってんじゃねーかよ。全然、いいじゃん。カッコ悪くねーよ。大概の男子は別れる間もなく速攻フラれるんだから(ソースはオレ)、とか思ってひがんでた。
ポップのシンガーソングライターからNYのジャズピアニストに転職って広島カープからロサンジェルス・ドジャーズへの移籍みたいに、同業他社へのサクッとした転職程度に聞こえなくもないんですが。全っ然、違ってるみたいで。同業他社といっても海上自衛隊イージス艦の乗組員から、ロシアのスペツナズ(特殊部隊)の隊員に転職するくらいまったく別物らしくて。なので大江さん、イチからジャズの勉強するためアメリカの音楽大学に入学したらしいんです。最初はジャズのコード進行の指使い(ポップやクラシックとは全然違うらしい)を18歳の同級生クンから教えてもらうくらい初歩からのスタートで。ほかの同級生から格下扱いされたりもして。あの「十人十色」や「格好悪いふられ方」を作った、渡辺美里の「10years」や「夏が来た!」も作曲した、松田聖子や中島愛(マクロスFのランカ・リーでもお馴染み)にも楽曲提供したあの大江千里が音楽業界で若造音大生から格下扱いって受けるってもはや意味不明ですけど。それくらい最初の2,3年はメチャクチャ大変だったようで。本人曰く「学校に通うがホント憂鬱だった」と。それでもものすごくピアノ頑張って。4年間かよって卒業して。今はちゃんとアメリカでジャズピアノで飯食ってて。昔は「格好悪いふられ方」とかしてたのに、今、めっちゃカッコいいじゃん、大江千里氏。
Boys mature slow /Senri Oe - YouTube
そして現在の大江千里。なんだよそれ。あんたカッコよすぎや。
そして奇しくも、彼が事務所をやめて、なんやかんや捨ててアメリカの音楽学校に入ったのが47歳の時で。ボクと大江さんでは仕事内容とか、実績とか、人間的なアレコレとか、歌唱力とか、いろいろ全く、全然違うんすけど。でも47歳で転職ってとこだけはボクと同じで。おお、仲間!みたいな。
さてここから、いきなり本題にはいるんですが。
今週、職場で新しい会計システムの導入があって、ボクら事務方はいわゆるパソコンの研修を受けていたんですけど。正直、ちゃんとついていけてない。なんとかケニアのナショナルスタッフに助けてもらって、生き延びてる状態で。新システムの導入といっても、赴任からの4カ月間ちゃんと頑張ってたら多分ここまで苦労することはなかったハズで。会計や医療用語(英語)にもちゃんと慣れて、覚えておかなきゃいけなかったんだけど。でも気づいたら日々与えられた仕事をこなすだけの生活になってて。デカい会社での生活が長かったせいかプライドの燃えカスみたいなのも残ってて。どこかで仕事を舐めてたのかもしれませぬ。
これがボクのデスク。ヘビー級のThink PadでWINDOWS7が活躍中。かなりOLD SCHOOLっス。(機密保持のため一応ボカシ入り。)
ところで前職の電通には鬼十則(世間ではいろいろいわれてるけど、古株の社員ならDNAに沁みついている家訓みたいなヤツ)があって。
その1番目と2番目にはこう書かれています。
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
でも「ケニアでは全然出来てないじゃん、オレ。」
プロジェクトのカネの責任を担ってる事務方が、数字に細かく目を通して、先手を打ってこまかく執行予算を管理・節約すれば、そのお金はどこかの別のプロジェクトの緊急用栄養フードや薬が買えたり、どこかの看護師を増員できたりする。税務処理やらスタッフのシフトやら役所との費用調整やら、経費全般をしっかり把握して削減すれば、そのカネはメディカルチームの助けになって.結果的に誰かの命が助かる可能性を高くなる。ボク自身、本当はもっとできることがあったんじゃないかと。いやすべきことは確かにあって。今週はそんな単純な事実を突きつけられた一週間だったので。
ここはメディカルチームが活動するホーマベイ病院。地域住民にとってこの病院はまさに命綱。ちなみにOPERATING THEATREというのは手術室のこと。
そして大江千里の話を聞いてライフゲージが回復するどころか、さらに落ち込んでしまったのですが。とはいえ落ち込んでいても予算の管理はできないので。ジャズピアニスト・大江千里を見習って、月曜からまた仕事頑張ろうと思うっス。
※国境なき医師団の予算管理について(一応、誤解がないように補足しますと)
弊団はボクが知っている民間企業や国際機関にと比べると格段に節約していると思ってます。例えばケニアでの国内出張は多くの場合、車移動なのでナイロビ出張の度に片道8時間ほど車に揺られます(ちなみに飛行機だと45分!)。出張先ではホテル利用は極力避けて、出張先の宿舎で共同生活が基本です。海外移動は法人提携している航空会社の格安エコノミーで移動。物資調達ではかなり低額のものでもキッチリ事前見積チェックして、多くの場合、見積もり競合を行います。外国人スタッフの人件費も他のメジャーなNGOや国際機関との比較では、だいぶん下方に位置していると思います。ただそれでも無駄とういのはどこかで生じてしまうというのも現実で、そこが悩みどころ。